皆さんは、これまでに「カンナビノイド」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
近年日本でも人気が高まっている「CBD」を知っている方なら、過去に一度は耳にしたことがあるかもしれません。
本記事では、そんなカンナビノイドの基礎知識や種類について詳しく解説します。
そもそもカンナビノイドとは?
カンナビノイドとは、麻(大麻草)に含まれる化学物質の総称であり、人間の体にも似た作用と構造を持つ物質が存在しています。
麻には、少なくとも100種類以上のカンナビノイドが存在しており、「CBD」や「THC」もその内の1つです。
ここでは、カンナビノイドの種類と体に働くメカニズムについて解説します。
カンナビノイドの種類

カンナビノイドは大きく下記の3種類に分類することができます。
- フィト(植物性)カンナビノイド
- 内因性カンナビノイド
- 合成カンナビノイド
フィト(植物性)カンナビノイドは、先程説明した麻(大麻草)に含まれる「CBD」や「THC」のことです。
一方、内因性カンナビノイドとは、人体で作られる物質であり「フィトカンナビノイド」に似た作用と構造を持っています。
また、合成カンナビノイドとは、化学合成によって作られるカンナビノイドであり、医療目的で研究が行われたりしています。
カンナビノイドが体に働くメカニズム

上記で紹介した3種類のカンナビノイドは、体内に存在するCB1・CB2などのカンナビノイド受容体に作用することで、様々な効果を起こすとされています。
CB1受容体は、脳など中枢神経に分布しており、多幸感や鎮痛作用などを引き起こすと考えられています。
CB2受容体は、末梢神経や免疫細胞に分布しており、抗炎症作用などを引き起こすと考えられています。
また、カンナビノイドが人体に作用し、効果が出るまでの一連の流れを「ECS(エンドカンナビノイドシステム)」と言います。
合法のフィト(植物性)カンナビノイド
ここまでの説明から、3種類のカンナビノイドについてお分かりいただけたと思います。
ここでは、2023年5月の現時点で合法なフィトカンナビノイドについて解説します。
CBD(カンナビジオール)

CBDは、麻に含まれる主成分の1つであり、精神作用や中毒性がないことが分かっています。
CBDの安全性の高さは、WHO(世界保健機関)に認められており、日本でも合法で使用することができます
さらに、CBDは過去の研究からな下記の効果が期待されています。
- リラックス作用
- 抗炎症作用
- 鎮痛作用
- 抗菌作用 など
また、CBDは様々な疾患に対しても有効的であることが分かっており、海外では医療大麻として、てんかんの治療などに使用されています。
CBG(カンナビゲロール)

CBGは、1964年に発見された希少性の高い「レアカンナビノイド」の1つであり、CBD同様に精神作用が無いことが分かっています。
CBGは最初、麻の中にCBG-A(カンナビゲロリン酸)として存在しており、酸化・分解されることでCBGに変化します。
CBGは、過去の研究から下記の効果が期待されています。
- 抗炎症作用
- 抗腫瘍作用
- 食欲増進効果
- 神経保護作用
- 抗菌作用 など
また、CBGは緑内障や過活動膀胱の治療にも効果的であることが分かっています。
CBN(カンナビノール)

CBNとは、「THC」が酸化・分解されることで形成されるレアカンナビノイドの1つです。
CBNは、CB1受容体に対してTHCの4分の1の結合力があり、一説ではTHCの10分の1の精神作用があるとも言われています。
また、CBNは過去の研究から、
- 睡眠の質の改善
- 痛みの緩和
- 抗炎症作用
- 抗菌作用
- 緑内障の治療
などの効果が期待されています。
CBNは現在日本でも合法で使用できますが、高濃度のCBNは薬物検査において陽性反応を示す可能性があります。
そのため、高濃度のCBNを摂取する際は、睡眠前や外出しない日などに利用することをおすすめします。
THCV(テトラヒドロカンナビビリン)

THCVは、1970年代に発見されたレアカンナビノイドの1つであり、食欲を抑制する効果から海外では「ダイエットウィード」と呼ばれています。
THCVは摂取する量によって精神作用の有無が異なり、高容量で精神作用を引き起こすとされています。
THCVは過去の研究から食欲抑制効果の他にも
- 抗炎症作用
- 神経保護作用
- 血糖値抑制
- 食欲抑制
- 抗けいれん作用
などの効果が期待されています。
また、統合失調症の症状を緩和する効果もあるとされており、今後新たな治療薬として利用されることが期待されています。
CBDV(カンナビディバリン)

CBDVは、1970年代初頭に発見されたレアカンナビノイドの1つです。
名前の通り「CBD」と分子構造がほぼ完全に一致していますが、効果や作用機序などが若干異なります。
CBDVは過去の研究から、
- 抗けいれん作用
- 抗炎症作用
- 吐き気の緩和
などの効果が期待されています。
また、CBDVは、てんかんやレット症候群・自閉症などの症状に対しても効果が期待されています。
CBC(カンナビクロメン)

CBCは、1966年に発見されたレアカンナビノイドの1つであり、神経性疾患に対する治療効果などから注目を集めています。
CBCは他のカンナビノイドと異なり、TRPV1・TRPA1受容体に強く結合することで、様々な効果を生み出すと考えられています。
他にも、過去の研究からCBCは、
- 痛みの軽減
- 抗炎症作用
- 抗菌作用
- ニキビ治療
などの効果が期待されています。
また、CBCには精神活性作用がないため、上記で紹介したカンナビノイドと同様に日本でも合法で使用することができます。
日本で違法のカンナビノイド
ここまでの説明から、日本で合法的に利用できるフィトカンナビノイドについてお分かりいただけたと思います。
ここでは、日本で使用することができない違法なカンナビノイドを3つご紹介します。
THC(テトラヒドロカンナビノール)

THCは大麻に含まれるフィトカンナビノイドの1つであり、強い精神作用があることが分かっています。
THCには、過去の実験から下記の効果が期待されており、海外ではTHCを含んだ大麻は医療や嗜好目的で利用されています。
- 鎮痛作用
- 食欲増進作用
- 抗けいれん作用
- 吐き気の抑制 など
現在日本では、THCを含んだ製品や大麻は大麻取締法によって所持や譲渡・譲受が禁止されています。
HHC(ヘキサヒドロカンナビノール)

HHCとは、強い精神作用があるとされる半合成カンナビノイドの1つです。
半合成カンナビノイドとは、大麻草にごく微量に含まれるカンナビノイドを化学的に合成したものです。
HHCはフィトカンナビノイドであるCBDやTHCを「水素化」することで作られます。
また、HHCは「麻薬及び向精神薬取締法」によって2022年の3月に規制されており、現在は使用することができません。
今後規制がされる可能性があるカンナビノイド
ここまでの説明から、日本で違法なカンナビノイドについてお分かりいただけたと思います。
ここでは、今後規制される可能性があるカンナビノイドを3つご紹介します、
THCH(テトラヒドロカンナビヘキソール)

THCHは、2020年に発見されたカンナビノイドであり、一部のユーザーからは強い精神作用があると言われています。
THCHは、2023年5月の現在も規制されておらず、日本でも合法で使用することができます。
THCHには、以下の効果が期待されています。
- リラックス作用
- 多幸感
- 鎮痛作用
- 睡眠の質の向上
- 食欲増進 など
また、THCHは安全性や効果に対する研究が十分では無いため、購入・使用することはおすすめできません。
HHCP(ヘキサヒドロカンナビホロール)

HHCPは、レアカンナビノイドの一種であり、2023年5月の現在も法律で規制されていません。
日本で流通しているHHCPは合成成分のもが殆どであり、効果や安全性に関する研究はほとんどありません。
一部のユーザーからは、下記のようなHHCに似たような効果があり、HHCの1.5〜2倍の効果があるとも言われています。
- 多幸感
- 鎮痛作用
- 不安の緩和
- 抗炎症作用
しかし、これらのHHCPの効果や副作用・安全性は明らかになっていないため、危険と判断された場合には、規制の対象になる可能性もあります。
THCB(テトラヒドロカンナビブトール)

THCBは、2019年に発見されたカンナビノイドであり、過去の研究からTHCに似た作用があることが示唆されています。
THCHは、2023年5月の現在も規制されておらず、日本でも合法的に使用することができます。
また、THCBには過去の動物実験から、下記の効果が示唆されています。
- 睡眠の質の改善
- 抗炎症作用
- 鎮痛作用
- 反応時間の遅延 など
しかし、THCBはTHCHやHHCPのように安全性や効果に対する研究が十分では無いため、購入・利用することはおすすめできません。
安全なCBD製品を購入するためには

粗悪なCBD製品には、上記で紹介したTHCやHHCなどの違法性分が含まれてる可能性があります。
そのため、安全なCBD製品を購入ためには、第三者機関の検査が行われているか確認することが重要になります。
第三者機関では、CBD製品に違法性分や農薬などが含まれていないかが検査されており、客観的な安全性が保証されます。
最近では、第三者機関の検査をおこなっている企業が増えているので、購入する前にチェックすることをおすすめします。
まとめ
今回は、カンナビノイドの基礎知識や種類について解説しました。
カンナビノイドは大きく下記の3種類に分類することができます。
- フィト(植物性)カンナビノイド
- 内因性カンナビノイド
- 合成カンナビノイド
日本で違法のカンナビノイドには「THC」や「HHC」などがあり、強い精神作用があるとされています。
また、「THCH」・「HHCP」・「THCB」などのカンナビノイドは、今後規制される可能性が高いと考えられます。
カンナビノイドに対する正しい成分知識を持つことで、CBD製品を安全に利用しましょう。