近年CBDは、ストレス緩和やリラックス作用などの効果から日本でも注目を集めています。
そんなCBDには、吐き気を抑える効果があることをご存知でしょうか?
本記事では、CBDの吐き気に対する効果やメカニズムについて詳しく解説します。
- CBDの吐き気に対する効果
- 吐き気を抑える他のカンナビノイド
- CBD製品で吐き気が起こった際の対処法
そもそもCBDとは?

CBDとは、カンナビジオールの略称であり、麻の成熟した茎や種子から抽出されるカンナビノイドという成分の1つです。
CBDの安全性の高さは、WHO(世界保健機関)にも承認されており、日本でも合法で使用することができます。
また、CBDは過去の研究から下記の効果が期待されています。
- リラックス効果
- 睡眠の質の向上
- 吐き気の抑制
- 集中力向上
- 美肌
- 抗酸化作用
- 鎮痛作用
- 抗炎症作用 など
CBDが吐き気を抑えるメカニズム
CBDには吐き気を抑える効果が期待されています。
しかし、現段階では、吐き気を抑制するメカニズムは完全には明らかになっていません。
ここでは、現在考えられているCBDが吐き気を抑えるメカニズムを2つご紹介します。
カンナビノイド受容体に作用する

CBDは、体内に存在するカンナビノイド受容体に間接的に作用することで、吐き気を抑えると考えられています。
2005年の研究では、被験者にカンナビノイド受容体の働きを抑える効果のある減量薬を投与し、経過が観察されました。
研究の結果、被験者は体重が減り強い吐き気を感じたことが報告されました。
この研究の結果は、カンナビノイド受容体が吐き気を調整する脳の領域に関与していることを示しています。
そのため、一説では吐き気を抑える効果は、CBDがカンナビノイド受容体に作用することで起こるのではないかと言われています。
セロトニン受容体に作用する

CBDは、セロトニン受容体に作用することで吐き気を抑制するとも考えられています。
2012年の研究では、ラットを用いてCBDの吐き気を抑える効果を評価する実験が行われました。
結果、CBDはセロトニン受容体を間接的に活性化することによって、吐き気を抑制する効果を生み出したことを示唆しました。
CBDが体に効果を与えるメカニズムは明らかになっていない部分が多く、今後の研究に期待しましょう。
CBDの吐き気を抑える効果を示した研究
ここまでの説明から、現在考えられているCBDが吐き気を抑えるメカニズムがお分かりいただけたと思います。
ここでは、CBDの吐き気を抑える効果を示した研究を一部ご紹介します。
CBDとCBGの吐き気に対する研究

2011年の研究では、ラットにCBD投与することで、吐き気に対する有用性を評価する実験が行われました。
CBGとは、CBDと同じく麻から抽出されるカンナビノイド成分の1つです。
実験の結果、CBD (5 mg/kg) はラットの嘔吐を抑制したことが報告されました。
この研究は動物実験ではありますが、CBDには吐き気を抑制する効果があることを示唆しています。
CBDがTHCの吐き気を抑えた研究

2022年の研究では、CBDをラットに投与し、THCによって誘発された吐き気に対する有用性を評価する実験が行われました。
THCとは、精神作用があるカンナビノイドの1つであり、乱用することで吐き気などの副作用が起こるとされています。
実験の結果、CBD (5 mg/kg)はTHCによって誘発された吐き気を軽減したことが明らかになりました。
また、このCBDの吐き気に対する効果は、セロトニン受容体である「5-HT 1A受容体」を通じて起こったことも示唆されました。
吐き気を抑える他のカンナビノイド
実は、CBD以外のカンナビノイドも吐き気を緩和する効果があることが分かっています。
ここでは、吐き気を緩和する効果が期待できるカンナビノイドを3つご紹介します。
THCVとCBDV

CBDVとTHCVは、過去の研究から、吐き気を軽減する効果が期待されています。
CBDVとTHCVは共に、麻から抽出される希少性の高い「レアカンナビノイド」の1つです。
2013年のマウスを用いた研究では、THCVとCBDVが誘発された吐き気を軽減することが明らかになりました。
吐き気を抑制または軽減したいと考えている方は、THCVやCBDVを含んだCBD製品を利用することをおすすめします。

CBDA

CBDAとは、生育中の麻の中に大量に含まれる化合物であり、吐き気を抑制する効果が期待されています。
2013年の研究では、トガリネズミとラットにCBDAを投与し、嘔吐及び吐き気に対する有用性を評価する実験が行われました。
結果、CBDAは、トガリネズミの嘔吐およびラットの吐き気を抑制したことが報告されました。
また、他の研究では、CBDAの吐き気を抑制する効果はCBDよりも強いことが報告されました。
嘔吐や悪心を緩和したい方は、試しにCBDAが配合されたCBDオイルを利用することをおすすめします。

CBD製品で吐き気が起こる原因と対処法
先程説明したように、CBDには吐き気を抑制する効果が期待されています。
しかし、CBD製品を摂取すると稀に吐き気を感じることがあります。
ここでは、CBD製品で吐き気が起こる原因と対処法をご紹介したいと思います。
CBD製品で吐き気が起こる原因

結論から言うと、CBD製品を摂取して吐き気や嘔吐の症状を感じる可能性は低いですが、ゼロではありません。
CBD製品を利用し、吐き気を感じた場合には以下のような理由が考えられます。
- CBDの副作用
- 医薬品との相互作用
- CBD以外の成分(MCTオイルなど)に問題がある など
特に、医薬品を服用している方は、CBDを摂取する際に注意が必要になります。
CBDには肝臓の酵素を阻害する働きがあり、医薬品とCBDを一緒に摂取することで副作用が現れることがあります。
そのため、現在医薬品を服用している方は、CBDを利用する前にかかりつけの医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
CBD製品で吐き気が起こった時の対処法
先程説明したように、CBD製品を摂取して吐き気を感じる可能性は低いですが、ゼロではありません。
ここでは、CBD製品を摂取して吐き気を感じた際の対処法を2つご紹介します。
CBD製品の摂取量を減らす

CBDには、いくつかの副作用がありますが、特に吐き気は摂取量が多くなることで起こりやすくなります。
そのため、CBD製品を摂取して吐き気を感じた場合は、摂取量を減らすことが重要になります。
また、吐き気の程度が弱い場合は、CBD製品を摂取した後に水分補給をすることも効果的です。
初めてCBDを摂取する方や過去に吐き気を感じたことがある方は、少量から少しずつCBDの量を増やすことをおすすめします。
異なる摂取方法を利用する

CBDは摂取方法によって、CBDの吸収率が異なります。
そのため、摂取方法によっては効果が強く出過ぎたり、他の摂取方法より副作用が出やすくなることがあります。
CBDは主に3つの摂取方法がありますが、吸収率の高さは
- 吸引摂取(ベイプ)
- 舌下摂取(オイル)
- 経口摂取(エディブル・カプセル)
の順となっています。
CBD製品を摂取して吐き気などの副作用を感じている方は、現在利用しているものよりも吸収率の低い摂取方法を利用しましょう。
まとめ
本記事では、CBDの吐き気に対する効果やメカニズムについて解説しました。
CBDは、過去の研究から吐き気を緩和する効果が期待できます。
加えて、他のカンナビノイドである「CBDV」・「THCV」・「CBDA」でも同様に吐き気を緩和することが期待できます。
また、CBD製品を摂取した際に稀に吐き気を感じることがありますが、「摂取量を減らす」・「異なる摂取方法を利用する」ことで改善することができます。
今回紹介したCBDアイテムを利用することで、生活のQOLを改善しましょう。
【参考文献】
- Cannabidiol, a non-psychotropic component of cannabis, attenuates vomiting and nausea-like behaviour via indirect agonism of 5-HT(1A) somatodendritic autoreceptors in the dorsal raphe nucleus
- Interaction between non-psychotropic cannabinoids in marihuana: effect of cannabigerol (CBG) on the anti-nausea or anti-emetic effects of cannabidiol (CBD) in rats and shrews
- Effect of combined oral doses of Δ(9)-tetrahydrocannabinol (THC) and cannabidiolic acid (CBDA) on acute and anticipatory nausea in rat models
- Cannabidiolic acid prevents vomiting in Suncus murinus and nausea-induced behaviour in rats by enhancing 5-HT1A receptor activation