CBDは、ストレス緩和などの効果から注目を集めており、ベイプやオイルなど様々な種類の製品が販売されています。
近年、そんなCBDに次ぐ新たな成分として「CBG」が注目を集めていることをご存知でしょうか?
本記事では、そんなCBGに「キマる」ような効果や体感があるのかを詳しく解説します。
- CBGはキマるのか?
- キマる以外の精神作用がある大麻由来の成分
- 「キマる」作用がある大麻由来の成分
そもそもCBGとは

CBGとは、カンナビゲロールの略称であり、大麻草に1%未満しか含まれない「レアカンナビノイド」の1種です。
CBGは、THCやCBDなどの元となる成分であることから、「カンナビノイドの母」とも呼ばれています。
CBGは、安全性が高いと考えられており、日本でも合法で使用できます。
また、CBGは、過去の研究から下記のような効果があるとされています。
- 神経保護作用
- 食欲増進効果
- 抗腫瘍作用
- 抗炎症作用
- 抗菌作用 など
CBGは、上記以外にも効果があるとされていますが、現段階ではエビデンスが十分ではないため、今後の研究が高まります。
CBGはキマるの?
CBGが大麻由来の成分ということから、もしかしたら「キマるのでは?」と考える人が多いと思います。
実際にネット上で、CBGと検索すると「キマる・やばい」などの言葉が出てきます。
ここでは、CBGを摂取するとキマるのかについて詳しく解説します。
CBGはキマらない

結論からいうと、CBGを摂取しても「キマる」ことはありません。
そもそも「キマる」とは、 大麻や覚醒剤などの薬物の作用により精神が高揚することを指します。
一般的な大麻から連想される精神作用は、大麻に含まれる「THC」と呼ばれる成分によって起こります。
THCとは、CBGと同じカンナビノイドの1つであり、日本では法律によって譲渡や所持などが禁止されています。
CBGはTHCと同じ大麻由来の成分ですが、精神が高揚するといった精神作用がないことがわかっています。
そのため、CBGを摂取しても、大麻や覚醒剤などの薬物のように「キマる」ことはありません。
CBGがTHCのようにキマらない理由

CBGは、人体に作用するメカニズムが「THC」と異なるため、THCのように「キマる」ことはありません。
THCは、人体にある「CB1」受容体に作用し、働きを活性化させることで「キマる」ような精神作用を引き起こすと考えられています。
CB1とは、脳などの中枢神経に分布している受容体であり、CBGやTHCなどが作用することで、痛みや不安の緩和などの効果を生み出すとされています。
一方、CBGはTHCと同様にCB1受容体に作用しますが、働きを活性化させる作用が無いことが分かっています。
そのため、CBGを摂取することで、痛みや不安緩和などの効果を得ることはできますが、THCのように「キマる」ことはありません。
CBGの効果が期待できる疾患
様々な効果が期待されている「CBG」ですが、具体的にどのような疾患に対して効果が期待できるのでしょうか?
ここでは 、CBGの効果が期待できる疾患を研究やエビデンスを基に詳しく解説します。
神経変性疾患

CBGは神経保護作用から、神経変性疾患に対して効果が期待できます。
神経変性疾患とは、ハンチントン病やチック症などの付随運動(意志とは関係なく体が動くこと)や運動異常が生じる疾患のことです。
2015年の研究では、ハンチントン病のマウスに対してCBGを投与することで、有用性を評価しました。
結果、CBGは神経保護作用によって、マウスの「運動異常」を改善したことが明らかになりました。
さらに、他の研究では、CBGは神経変性の原因となる「神経炎症」や「酸化ストレス」から細胞を保護する可能性が示唆されました
これらの研究は、臨床試験レベルではありませんが、CBGの神経変性疾患に対する有用性を示唆しており、今後に注目が高まります。
炎症性腸疾患

CBGは抗炎症作用から、炎症性腸疾患に対して効果が期待できます。
炎症性腸疾患とは、「大腸炎」・「クローン病」などの免疫細胞の異常が原因で、腸に炎症が起きる疾患のことです。
2013年の研究では、大腸炎のマウスにCBGを投与することで、有用性を観察しました。
結果、CBGは腸の炎症を緩和し、慢性炎症の原因となる「一酸化窒素」の生成を抑制することが報告されました。
さらに、別の研究では、CBGは「炎症性疾患」や「自己免疫疾患」による炎症をコントロールすることが示されました。
これらのCBGの抗炎症作用に関する研究は、未だ動物実験の段階ですが、今後新たな治療薬になることが期待できます。
がん

CBGは抗腫瘍作用から、がんに対して効果が期待できます。
2014年の研究では、結腸癌のマウスにCBGを投与し、がんに対する有用性を評価しました。
結果、CBGは「腫瘍の成長」や「癌細胞の増殖」を抑制することで、結腸癌の進行を遅らせたことが明らかになりました。
現在がんの治療は、投薬療法や放射線治療が行われていますが、様々な副作用を伴うため患者の体に負担がかかってしまいます。
そのため、がん治療に対する研究が進むことで、CBGが現在の治療法に代わる新たな手段になることが期待されます。
緑内障

CBGには、緑内障を予防する効果が期待できます。
緑内障とは、眼圧によって視神経が圧迫・障害されることで、視野が徐々に狭くなる疾患のことです。
2009年の研究では、専門の器具でCBGを猫に慢性的に投与し、有用性を評価しました。
結果、CBGは猫の眼圧を大幅に低下させたことが報告されました。
また、この研究からCBGは、THCと違い、「レム睡眠(眠りの浅い睡眠)」に影響を与えないことも示唆されました。
これらの研究から、CBGが緑内障の新たな治療手段として利用されることに期待が高まります。
過活動膀胱(かかつどうぼうこう)

CBGは、過去の研究から、過活動膀胱に対して効果が期待できます。
過活動膀胱は、膀胱が意志とは無関係に収縮することで、尿意を感じる状態のことです。
2015年の研究では、「CBG」・「CBD」・「CBDV」・「THCV」の膀胱の収縮に対する影響を調査しました。
「CBD」・「CBDV」・「THCV」は、CBGと同じ大麻から抽出される成分のことです。
結果、「CBG=THCV>CBD>CBDV」の順に膀胱収縮を軽減することが明らかになりました。
この研究は、CBGの過活動膀胱に対する有用性を示しており、今後の研究次第では新たな治療手段として期待することができます。

キマる以外の精神作用がある大麻由来の成分
先程説明したように、CBGには精神作用が無く、THCには「キマる」ような精神作用があります。
では、CBGやTHC以外の成分はどうなのでしょうか?
ここでは、「キマる」以外の精神作用がある成分を紹介します。
CBD

CBDは、麻に含まれる主成分の1つであり、「キマる」ような精神作用や中毒性がないことが分かっています。
そんなCBDですが、THCとは異なる精神作用があることが分かっています。
ジョンズ・ホプキンス大学の研究では、健康な男女18人にCBDを摂取させ、主観的な精神作用を観察しました。
この実験では、被験者は「経口摂取」・「吸引摂取」という2つの摂取方法を用いてCBD(100mg)を摂取しました。
結果、CBDを吸引摂取した場合のみ「楽しい」・「好ましい」といった主観的な精神作用を感じたことが報告されました。
ただし、この実験では特殊な吸引用の機材が使用されているため、市販のCBDベイプでも、実験と同様の効果が得られるかは分かりません。
CBN

CBNは、「THC」が酸化・分解されることで形成される大麻由来の成分の1つです。
CBNは、THCと同様にCB1受容体に作用しますが、部分的にしかCB1受容体を活性化させることができないとされています。
実際に、過去の基礎研究では、CBNは「CB1」に対して、THCの約10分の1程度の活性しか示さなかったことが報告されています。
そのため、CBNを摂取して、ごく微弱の精神作用を感じることがありますが、THCのように「キマる」ことはありません。
THCV

THCVは、1970年代に発見された大麻由来の成分の1つです。
THCVは摂取量によって、精神作用の有無が異なると考えられています。
2008年の研究では、高容量のTHCVは、精神作用を引き起こす可能性があることが報告されました。
しかし、THCVはCBDやTHCと違い、大麻にごく少量しか含まれていません。
そのため、精神作用を感じるほどの量のTHCVを摂取することは、現実的ではありません。
「キマる」作用がある大麻由来の成分
ここでは、「キマる」ような精神作用がある成分や注意事項をご紹介します。
半合成カンナビノイドは「キマる」ような精神作用がある

半合成カンナビノイドとは、大麻草に少量含まれている「カンナビノイド」を化学的に合成した化学物質のことです。
半合成カンナビノイドは、主に下記のようなものがあり、一部のユーザーから「キマる」ような精神作用があると言われています。
- THCH
- THCB
- HHCP
- H4CBD
また、上記の半合成カンナビノイドは、2023年7月現在でも合法的に使用することができます。
ただし、安全性や副作用は明らかになっていないため、危険と判断された場合は規制の対象になる可能性もあります。

過剰摂取には注意が必要

半合成カンナビノイドは過剰に摂取すると、「バッドトリップ」という現象が起こる可能性があります。
バッドトリップとは、精神作用がある成分を摂取することで、「吐き気」や「めまい」・「つよい恐怖心」を感じる現象のことです。
バッドトリップは、誰にでも起こる可能性があるため、半合成カンナビノイドを利用する場合は、摂取量に注意する必要があります。
また、は、高容量を摂取すると「眠気」や「頭痛」・「喉の乾き」などの副作用を感じる場合があるとも言われています。
これらのことから、仮に半合成カンナビノイドを利用する際は過剰摂取を避け、慎重に利用することをおすすめします。
バッドトリップにはCBDがおすすめ

バッドトリップを感じた場合には、CBDを摂取することがおすすめです。
CBDには、THCやTHCH・THCBなどの「キマる」ような精神作用を緩和する効果があると考えられています。
そのため、バッドトリップを感じた際にCBDを摂取することで、症状を緩和することが期待できます。
また、CBDはベイプで摂取することで、CBDオイルやグミなどに比べ、短い時間で強い効果を感じることができます。
半合成カンナビノイドを利用する場合は、万が一に備えてCBDベイプを用意しておき、バッドトリップを緩和しましょう。
まとめ
今回は、「CBGはキマるのか」について詳しく解説しました。
CBGは、THCのような精神作用がないため、摂取しても「キマる」ことはありません。
「CBD」や「CBN」・「THCV」は摂取してもキマることはありませんが、それぞれ異なった精神作用があるとされています。
また、半合成カンナビノイドには、主に下記のようなものがあり、一部のユーザーから「キマる」ような精神作用があると言われています。
- THCH
- THCB
- HHCP
- H4CBD
これらの成分は、安全性や副作用は明らかになっていないため、利用する際は過剰摂取を避け、慎重に利用することをおすすめします。
【参考文献】
- Neuroprotective properties of cannabigerol in Huntington’s disease: studies in R6/2 mice and 3-nitropropionate-lesioned mice
- Beneficial effect of the non-psychotropic plant cannabinoid cannabigerol on experimental inflammatory bowel disease
- Colon carcinogenesis is inhibited by the TRPM8 antagonist cannabigerol, a Cannabis-derived non-psychotropic cannabinoid
- Effect of Non-psychotropic Plant-derived Cannabinoids on Bladder Contractility: Focus on Cannabigerol
- A Comparison of the Ocular and Central Effects of Δ9-Tetrahydrocannabinol and Cannabigerol
- Pharmacodynamic effects of vaporized and oral cannabidiol (CBD) and vaporized CBD-dominant cannabis in infrequent cannabis users